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社会派ドラマになった「赤毛のアン」


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少女時代にものすごく影響を受けた物語がある。それは「赤毛のアン」だ。
子供の頃の日曜夜7時30分と言えば、「カルピス世界名作劇場」だった。私はそこで放送された「赤毛のアン」にどハマりした。
アンの頭の中(想像の世界)やアボンリーを、日アニが素晴らしいアニメーション力で表現してくれたことが最大の理由に他ならない。あの番組を見ていなかったらそこまでハマることは無かっただろう。

つまり、子供の私はストーリー<ディールに惹かれたわけだ。日アニが描いたプリンスエドワード島の美しい風景の数々、そしてグリーンゲイブルズにめちゃくちゃ憧れた!孤児で10歳まで酷い扱いを受けてきたアンの生い立ちのことなどすっ飛ぶくらい、グリーンゲイブルズで暮らせる、アンの人生が羨ましいとすら思えた。

そしてアンがカスバート家の家族になったのと同じくらいの年齢で、原作本を読んだ。アニメでは描ききれなかったストーリーをここで味わい、キャラクターも含めて、更に赤毛のアンが好きになった。
以来、アニメの再放送がある時は見逃さなかったし、映画やドラマになったものも全て見尽くしてきた。

そして去年、BSプレミアムの深夜に「アンという名の少女」というTVドラマの放映が始まったことを知った。
制作はCBC(カナダ放送協会)なのだが、
原作をオマージュしながらも、大人向けのリアリティのあるストーリーだ。
原作には無い、マシューと、マリラの若かりし頃の恋の思い出や、カスバート家の家計が傾くと、アンは質屋に行き、あることないことストーリーを付けて、集めた品々をお金に替えるというシーンがあったり、生々しいエピソードも多々描かれている。また、アンは男の子と間違われてグリーンゲイブルズに来た経緯があり、要らなくなったら孤児院に返されるのでは無いか?という恐怖から、農作業の手伝いに雇われたジェリーに辛く当たるところも出てくる。私はこれはこれで、キャラクターの輪郭や心情が分かりやすく伝わり、見応えのある作品だなと思った。
更に子供時代には気づけなかった、アンが孤児として過ごした劣悪な環境、虐待やいじめ等のトラウマ、それに屈せず素直で愛情深い少女に育った心の強さに感心した。そのような過酷な幼少期を経た故に、凡庸なアボンリーの人々になかなか馴染めず、浮いてしまう悲しさに胸を締め付けられた。

特筆するところはマリラの母性の描き方だ。原作や、アニメよりもアンを愛する気持ちがふんだんに描かれている。
マリラもマシューもアンの不憫だった子供時代を理解し、丸ごと受け入れてくれている感じが私は好きだ。

が、原作ファンの人の中には「原作への冒涜」だとか、原作者のモンゴメリーがこれを見たら悲しむ等々…酷評している人もいる。色んな見方が有るだろうし、好き嫌いはあって当然だが、余りにも「原作と同じ」を期待していた人が多いことに、正直驚いている。(中には罵倒するような感想まで!)

私が思うに、このドラマはスピンオフを兼ねた、「社会派赤毛のアン」なのではないだろうか?
単にカナダの美しい島で育った少女のお話しではなく、血縁では無い家族や、友達、村人との絆を築き、たくましく生きた女性でもあったことを描きたかったのではと想像する。

実は今、去年放送されたシーズン1の再放送が始まっており、その後の9月半ばからシーズン2が放送される。更にストーリーは原作から離れていくのだそうだが、私は楽しみだ。
また、ドラマで描かれたキャラクターを思い浮かべながら原作をもう一度読み直してみるのも一興と思う。
1年のうちで最も好きな季節に、また1つ楽しみが増えた幸せを噛み締めている。