何でもかんでも無臭
近ごろ、消臭・防臭商品のCMをよく見かける。
洗濯用洗剤をはじめ、口臭予防のマウスウオッシュ、車のエアコンや部屋の中の消臭剤等々。挙句の果てには無臭のニンニクまであるらしい。無臭のニンニクって美味しいのだろうか?
今の日本のような「無臭信仰」は外国にはないらしく、やはりCMの影響は否めない。
私が最近見て印象的だったのが、ある消臭スプレーのCM。
まずサラリーマン風の男性2人に声をかけて、自分が履いている靴の臭いを嗅いでもらう。その瞬間「うわ〜っ!」っといかにも悪臭を嗅いだというように顔を歪ませる2人。
次に機械で臭いのレベルを測る。結果は「トイレ」と同じ!?今どきそんなに臭うトイレってあったっけ?疑い深い私は既に不信感。
その靴に消臭スプレーをかけるとたちまち臭いがなくなる、というストーリー。
次に場面はどこかの家の中に変わる。靴だけでなく、部屋のカーテンや、汗の臭いが染みついた枕等々、このスプレーを使えば悪臭とはさよならというわけだ。
最後にその家に住んでいるとおぼしき年配の女性が、抑揚のない声で「無臭がいいね!」と言い放ちCMは締めくくられる。
においの多くは「代謝」という生命活動に由来するので、生き物がにおいを発するのは当たり前。公害などのケースはともかく、生活レベルの「においがあること」を、「悪いこと」のように考えるのはいかがなものだろう?
生物には、同じ種のにおいを嗅ぐと不安が消え、安心を示す性質があるそうだ。人間の赤ちゃんは母親のにおいを嗅ぐと安心し、母親も赤ちゃんのにおいを嗅いで安心するという研究報告もあるらしい。
また嗅覚を失うと不安を感じ、そのストレスによって短命になるという例もあるほど、においが人に与える影響は大きい。
ちなみに「自然」に発生するにおいを「人工的」に消すこのスプレーは「植物由来」だそうだ。