つれづれ色々綴るブログ

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原作にも劣らない深いストーリー

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NHK.jp アンという名の少女2より



「アンという名の少女」シーズン2の放送が始まった。

既にストーリーは3話までが放送済みだが、やっぱりアンはぶれていない、とても好きなキャラクターだということを、改めて実感している。しかしカルピス世界名作劇場を見ていた子供の頃に、大好きな「赤毛のアン」がこんな見ごたえのあるドラマになるだなんてことは想像できなかった。

シーズン1に関しての感想は「社会派ドラマになった「赤毛のアン」」でも記したが、シーズン1は主に原作に基づくストーリーが中心だ。特に前半部分は幼い、子供らしい自分中心のエピソードが殆どだが、後半部分からは次第に、悲しいできごとが起こり、アンの周りの人を思いやる優しさや、たくましさが顔を覗かせる。

同級生のルビーギリスの家が火事の時には、勇敢に家の中のドアを閉めに入り、火の手が回るのを抑えたり、親友ダイアナの妹が高熱に見舞われたときは、適切な処置で命の危機から救う。このような機転を利かせられたのは、孤児だった幼い時からの経験で得た知識とそして勇気だ。

シーズン2では、ジェリーが退職金として受け取るはずだった馬を売ったお金を強奪した二人がグリーンゲイブルズの下宿人として雇われる(ジェリーは初め気づかない)話からスタートする。二人は詐欺師で、アボンリーの土地から金が出たと嘘をつき、アボンリーの人々から発掘調査費用としてお金をだましとる。幸いマシューとマリラはお金を出さなかったが、そんな2人を雇っていたことを知り、少なからず傷心している。そんなある晩のシーンで語ったアンの言葉にとても感心した。因みに原作にはこんなストーリーはもちろん無い。

アンが詐欺師の下宿人だったネイトが残していった本を読んでいると、「その本は捨てた方がいい。今回のことは忘れるの」と言うマリラに対して、アンはネイトが金だと偽っていた石をマリラに見せながら「忘れたいとは思わない。ほらこの石よく見て!ネイトの本で見て知ったの。黄鉄鉱というの。ある程度明るいところで見ると本物の金に見える。」

「偽物と本物の見分け方を知っていれば騙されることは無い」とマリラ。すると賢いアンは子供とは思えない鋭いことを言い放つ。

「いつも最善を尽くすしかない。知識がどれだけあるかは関係なく。嫌な経験からでも意味のあることを学べるはず。それが成長につながる。」うーむ深い!物事の真理を悟ったと思えるような発言だ。そしてマリラはそんなアンに対し「口で言うのは簡単。でもそうい

う考え方はいいと思いますよ。」と戒めながらも優しく褒める。まるで視聴者側の気持ちを代弁するかのよう。さらにアンは続けて「フロストさんが直感を信じろと言ってくれた。だからそうする。」と、金騒動の真偽を確かめるべく訪ねて行った新聞記者のフロストから言われた言葉を思い出しかみしめる。

大人になると直感を信じられなくなる傾向にある。あれ?と一瞬頭をよぎっても、これまでの経験や、損得勘定、思い込みなどで目は曇りがち。純粋な子供ほど直感に忠実だ。この言葉には、自分自身を顧み反省させられた。

このドラマにも、どんなジャンルの作品にも通じるメッセージ、「悲しみに負けないで」が流れている。どんなにストーリーが原作と逸脱していても、結局アンという少女を通じて伝えたいことは、原作者のモンゴメリーと同じなのではないかと思う。枝葉末節にこだわっていてはもったいない。

そして「アンという名の少女」はシーズン3まであることと、テレビで放送される予定であることも知った!これから待ち受ける出来事にアンがどう立ち向かっていくのか、今年の冬の楽しみになること必至だ。